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君と私と(非)日常

第27章 益体もない裁判


「さくらちゃん……難しくて分かんないよ。それに事件の内容もちょっと付いていけない……」
朝比奈葵が複雑そうな顔をして大神さくらにすり寄った。
大神の疑問に答えようと、数人がポツポツと自論を持ち出す。
「ぼくは促した方に罪があると思うな……可愛い女の子が自室のベッドで誘ってきたら堪らないじゃないか。それにほら、"犯罪の陰に女あり"ってよく云うよね」
「キエェーーッ! 花村さん、今の発言は男女差別ですよ! 絶対絶対何があろうと、希灯さんは悪くありません! 寧ろ男死そのものが犯罪の権化なのです!!」
「テメーが1番男女差別が激しいんじゃねーか……おいペコ、オメーはどう思う?」
「はい、坊っちゃん。恐れながら申し上げますと、私は両成敗がよろしいかと思います。どちらにも原因はあるわけですから、希灯もカムクラと同じ結末を迎えるのが道理かと……」
口々に言い合う様子をモノクマが見守る。
「補足ルールなんだけど、今回はクロを決めてないから"説得力のある理由"で投票が全員一致した場合に決まった誰か1人にお仕置きを受けてもらうよ!」
特等席からモノクマが呼び掛けた。
「希灯サンが全員に投票されたら勿論本人にお仕置きを受けてもらうけど、カムクラクンの場合はもう逝っちゃってるから代わりにスペシャルゲストを呼んでお仕置きを受けてもらいます」
「スペシャルゲスト……?」
「おっ、気になっちゃう? いいよ、正体が気になって判決に支障を来すかもしれないから今の内に教えてあげる! ……この方です、どうぞー!」
モノクマが天井から大きなスクリーンを下ろした。
短い砂嵐の後、映像が始まる。明かりの少ない室内の様子を映しているようだ。
暗がりの中、蠢く影が微かに見えた。不快な呻き声が湿っぽくスピーカーから流される。
「パンパカパーンっ! ゲストはこちら、前学園長さんでーす! 世界一短い宇宙旅行に行ってきてもらいます!」
「学園長……!?」
誰もが驚いて画面を凝視した。モニターに映っているのは紛れもなく、希望ヶ峰学園の学園長もとい霧切響子の実の父である霧切仁の姿だった。
「…………」
霧切響子がモニターを見つめる。
暗がりの中の父の状況を確かめようと、目を離さずに観察した。
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