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君と私と(非)日常

第26章 乙女っていいよね


一束に纏め団子状にし、その上からフェイスタオルで繰るんだ。
『はい、これで終わり。湯船に浸かっておいで。』
冬子ちゃんがタオルから少しはみ出た髪の毛に鼻を寄せ、香りを確かめる。
「ア……アンタにしては珍しく役に立ったんじゃないの? 学級裁判でもこれぐらい活躍すればいいのに……」
『もう、普通にありがとうって言ってくれていいんだよ。』
学級裁判では借りてきた猫の如く黙り込む私に対して苦言を漏らしている。
だって下手なこと喋って注目されたら面倒なんだもん……。
「まぁいいわ。そんなことより………ふふ……これでもっと白夜様のお側に居られる……」
ニヤニヤしながら掛け湯をして湯船に入る冬子ちゃんを尻目に、自分もさっさと洗うことにした。
冬子ちゃんと一緒に湯船に浸かりたいからとなるべく手早く済ませる。
『失礼するよー。』
洗面器にお湯を入れ、肩から掛ける。
冬子ちゃんの隣に座ると、ハッとしたように冬子ちゃんは口元の涎を拭いた。
「……いけない、妄想が捗りすぎてあっと言う間にのぼせちゃったわ」
『あっ、もう出ちゃうの?。』
「何よ……アンタに合わせてやる義理なんてないわよ」
少しフラつきながら湯船から出る冬子ちゃんの後に続き、脱衣場に入る。
常備のバスタオルを冬子ちゃんに渡し、頭に巻いているフェイスタオルを解いた。このタオルは髪の水気を吸ってビチャビチャになってしまったから乾いているものと交換しなければ……。
私は着替えるのは後にしようと体にバスタオルを巻き付け、洗濯済みのフェイスタオルを持ってきた。
『髪乾かすから、そこに座ってね。』
もう既に着替えを終わらせかけている冬子ちゃんを長椅子に誘導する。
「何なのよ……まだ何かあるって言うの……?」
不満げな口調で長椅子から見上げる冬子ちゃんの頭の上にタオルを乗せた。
『当然だよ、寧ろ一番大事。乾かさずに放っておいたらその内頭皮がカビて薄毛の原因になっちゃうよ。ただでさえ毛量が多いんだから、ちゃんと乾かさなきゃ!。』
ドライヤーのコードを伸ばし、コンセントにプラグを差し込む。
『……いきなり風当てても水気が多過ぎるから効率悪いかもな。まずはタオルでよく水分を拭き取るよ。』
根元から毛先にかけてなるべく満遍なくタオルを当て、髪から水滴が垂れなくなるまで乾かした。
少し時間が掛かったけど、まだまだ生乾きの域だ。
これからが本番だろう。
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