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君と私と(非)日常

第25章 魔法の子


私の集めた材料と自身の抱えた材料を料理本と照らし合わせ、茶柱さんはやる気満々にエプロンを結び直した。
『よかった、これでやっと始められそう。』
「希灯さんのチームも頑張ってね!」
そう言うと、混ぜた生地を型に流し込みに行こうと赤松さんが離れた。
私がゼリー担当で茶柱さんがプリン担当。
私は茶柱さんと共に料理本とにらめっこしながら拙い手付きでゼリーとプリンを作っていく。
「…………」
作業途中にギュッギュと力強くクッキーの生地を捏ねている春川さんを見つけた。
『腕の筋肉すごいね、何かスポーツでもやってた?。』
力が加えられるときに浮き出る綺麗な形の筋肉を見て訊くと、真剣な顔付きだった春川さんがハッとして顔を上げる。
「いや……別に」
素っ気なくそう答えると、また生地に視線を戻したきり黙り込んでしまった。
「神様はー、ココアをもっと入れるべきって言ってるよー」
「駄目だよぉっ! それヴァンホー○ンのピュアココアだからすごく苦くなっちゃうよ?」
近くでそんな会話が聞こえた。
粉ココアの缶を持って生地に入れようとする夜長さんと、それを阻止しようとボウルの前でキーパーのように手を広げる白銀さんが居た。
春川さんが生地捏ねの担当で、他の2人はフレーバーを決める担当らしい。
沢山作るつもりらしく、生地の入ったボウルは4つもあった。
「んー、苦くなったらその分だけ砂糖を追加すればいいんじゃないかなー」
「そんなやり方じゃ解決しないよ! 地味に身体に悪いし!」
離れた所から2人の様子を観察する。
なんとか白銀さんの必死の説得によりピュアココア大量投入は回避できたみたいだ。
しかし白銀さん、ボウルとかヘラとか持つたびに顎がしゃくれるのは何なんだろう……○ッキングパパの主人公みたいだ。多分無意識に真似してしまっているんだろう。
ゼリーとプリンは残すところ冷蔵庫で冷やすだけになり、いち早く作業が終わってしまった私と茶柱さんは厨房に散乱する使い終わった道具を一気に洗ってしまうことにした。
半分くらいは既に東条さんが済ませていたらしく、そこまで大変な量ではない。
洗いながらケーキ班のデコレーションを眺めたりクッキー班の焼き立てのクッキーを見たりしては『美味しそうだね。』「楽しみですね」と言葉を交わし合った。
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