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君と私と(非)日常

第25章 魔法の子


『まぁ、協調性が無いのは問題なのかもしれないけど、この企画は強制ではないからね。無理強いはできない。』
でも、働かざる者食うべからず。何かしら夢野さんにも仕事はしてもらおう。
『……ケーキ班は東条さんが居るから恐いものなしだね。』
テキパキと動き回る東条さんを見ながら赤松さんに言う。どうやら他の班の面倒も見てくれるつもりらしい。
「うん……だけど入間さんも居るからね。ケーキ作りに発明品を持ち出してるからちょっと心配かも」
ほらあれ、と赤松さんが指差す。
付け合わせの生クリームを泡立てている所らしいが、何やら泡立て器ではなさそうなよく分からない器具を高速回転させてかき混ぜている。
「何で泡にならずに液体のままなんだ!? 俺様じゃ立たねーってのか!!?」
「入間さん、グラニュー糖を忘れているわ」
「早く言えよッ!! 自信喪失する所だったじゃねーか!」
東条さんが持ってきたグラニュー糖と計量スプーンを乱暴に受け取ると、ドサッと一気に生クリームに入れてすぐさまかき混ぜた。
「あ、入れ過ぎ……」
様子を窺う赤松さんが無意識のように小さく呟いた。生地を混ぜる手もすっかり止まってしまっている。
「……あぁっ、何かボソボソしてきやがった!」
「混ぜ過ぎよ。分離してしまったんだわ」
東条さんが出来損ないの生クリームが入ったボウルを入間さんから取り上げる。
「分離した生クリームはヨーグルトを入れて氷水で冷やしながらヘラでかき混ぜるといいわ。やっておいてあげる」
「いやいい、俺様がやる」
冷蔵庫からヨーグルトを取り出しボウルに入れ、氷水を用意しヘラを取った。
「クソッタレ! 俺様が掻き回してやったのに干からびてんじゃねーよ!」
ヤッてやる! と意気込みを見せる入間さん。今度は自身の手でがむしゃらにかき混ぜ始める。
「もっと優しく……そうそう、筋がいいわ」
東条さんが見守る中、入間さんは生クリームを完成させた。
『……あれは生クリームなの?。』
「生クリームを通過して……ヨーグルトが入って……? まぁ滑らかさを取り戻せたなら大丈夫だよ」
多分美味しくないことはないだろうし、と赤松さんはまた生地を混ぜながら言う。
「希灯さん、お抹茶の粉見つけました! これで材料は揃いましたよ、早速作りましょう!」
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