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君と私と(非)日常

第25章 魔法の子


才囚学園の食堂に女子一同が集まっていた。
閉じ込められた空間でラブコメを繰り広げろとモノクマから宣告されて早7日。
多少仲良くなり始めた自分たちは女の子だけで揃ってお菓子を作ってみることにしたのだ。

「よーしっがんばろうね、みんな!」

赤松さんがピンク色の三角巾を頭に巻きながら意気込みを見せる。
図書館から持ち出してきた料理の本で、それぞれ好きな物を作ろうと数人に分かれた。
ケーキの班、クッキーの班、ゼラチン質の班の3チームだ。
ケーキ班が赤松さん、入間さん、東条さん。クッキー班が白銀さん、夜長さん、春川さん。ゼラチン班が茶柱さん、夢野さん、そして私……希灯誉稀だ。
ケーキやクッキーはさておき何故ゼラチン質の班があるかと言うと、単純にオーブンが足りないのだ。
3班共にオーブンを使う菓子作りを同時進行でやるとなると、いたずらに時間の無駄遣いをしてしまうだろう。
だから冷蔵庫で冷やして固めるだけのゼリーやムースが今回採用された。私はどうせならマカロンが作りたかったけど、アーモンドプードルが無いということで諦めた。
「転子は豆乳ゼリーとお抹茶のプリンにしたいです!」
「うちは何でもよいぞ、食べるだけじゃからな」
めんどいのぅ……と言い、さっそく食卓に座りに行く夢野さん。
「夢野さん! 作るのも楽しいですよ、一緒に作りましょう!」
「嫌じゃ……今はMPの補給タイムじゃから、体が上手く動かんのじゃ……」
茶柱さんの誘いも虚しく、夢野さんはそのままテーブルにうつ伏せた。
『しょうがない、2人で作ろうか。夢野さんは最後に貯めたMPでお菓子がより美味しくなる大魔法をかけてくれる筈だからそっとしておこう。』
茶柱さんを促し厨房へ戻ろうとする。
「そ、そうですね……夢野さん、MPの補給頑張って下さい!」
「んあー…………んあぁ?」
魔法を使うフラグが立ったことに夢野さんは不安げに顔を上げ、冷や汗を浮かべながら私達を見送った。



「夢野さんは相変わらずだね……」
茶柱さんがリクエストした豆乳ゼリーと抹茶プリンの材料を集めていると、少し残念そうな顔で赤松さんが私に話しかけた。
赤松さんのかき混ぜているボウルの中身は茶色い。どうやらチョコレートを生地に混入させたようだ。
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