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君と私と(非)日常

第22章 旅へ行こうよ


ティッシュ箱よりも一回り小さいくらいの箱を受け取った私は、店の人が巻いたであろう古新聞の包装紙を撫でた。海外の文字がたくさん印字されてて何だかお洒落に見える。

『ありがとう。開けてもいい?。』
「いいっすよ」

私はなるべく丁寧に包装紙を外して、中身を確認した。
木箱に細かい彫刻が施されたものだ。外側に小さい穴が1つだけあって、そこからゼンマイのような金属の棒が飛び出している。
蓋を開けると、右端には金色のネジや突起物や鍵盤が組合せられた物が付いていた。残りのスペースは何やら入れられるようになっているみたいだ。

『綺麗だね。オルゴールかな?。』
「そうっすよ。音を鳴らすときはそこを回してみるといいっす」

言われた通りに回すと、ポロン……ポロロン……と聞き慣れないメロディーを奏で始めた。

「箱もオルゴールも全部手作りらしいっすよ。でも残念ながら曲名はわからないっす。工房の人に聞いたんっすけど、よく覚えてないって言われたんで」

陽気なおじいさんだったっすよー、と天海くんは笑った。

「余ったスペースはアクセサリーとか入れるといいっすよ。ほら、指輪をはめ込む為のクッションも付いてるっす」
『ホントだ、便利だねぇ。イヤリング入れるのにも丁度良さそう。箱の装飾もオルゴールも全部素敵だね、気に入ったよ。』
「気に入ってもらえて良かったっす」
『うん、ありがとう。』

木箱を大事に膝の上に置いた。
今度何かお礼をしたいなぁ、と思い天海くんの好きそうなものを思い浮かべる。
天海くんと言えば……あれ?。そう言えば、旅行以外の好きなものなんてよく知らないな。
意外と天海くんのこと全然分かってない気がする。

『天海くんって……何が好きとかある?。』
「どうしたんすか、急に」
『いや、良いものを貰えたから何かお礼が出来たらなって思って。』
「いいっすよ、お礼なんて。それに何が好きかって訊かれた時に限って本当に好きなものは思い浮かばないもんっすからねー」
『でも、貰ってばっかじゃ悪いよ……この前の旅の時もお土産もらったし。』

たまには何かお返しがしたい。
良い思いをさせてもらってるんだから、こっちからも何かしてあげたいんだ。

「……そこまで言うんなら、折角だからお願いするっす」
『うん、出来ることなら何でもするよ。』
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