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知らぬが花か 恋心

第2章 2.





起き上がり3人を見てみると、まるで時代劇にでも出て来そうな出で立ちをしてこちらを見ていた。



美少年は腰に矢筒を下げており、
怒鳴り声の主であろう眼帯の男の後ろには家紋らしき布が掛かっている。


赤い男の羽織のようなものにも、壁に掛かっているものとは違うが、家紋らしきものがある。



「起きておったのか。


まぁ良い」



眼帯の男は怒りを収め、ニヤリと笑った。



「さて、そちの名はなんと申す」



出で立ちのみならず、口調まで時代劇めいている彼らに内心首を傾げながらも、彼女は答える。


「…沙夜…東雲沙夜です」



三人は首を傾げた。



「東雲?


聞いたことがないな。


お前らはどうじゃ」



「俺(おい)も無か」



「私(わたくし)の御世にもおられなかったかと」



彼女ー沙夜ーはそんな三人を見て、はたと気づいた。




少年はともかく、二つの家紋は見覚えがある。




「木瓜紋と島津十字…?」



思わず口に出すと、眼帯の男と赤い男が大きく目を見開いた。




そして、眼帯の男は得意そうに、赤い男は嬉しそうに笑った。




「なんじゃ、俺たちを知っておるのか。


だがまだ名乗っていなかったな。


俺は信長。


織田前右府(さきのうふ)信長である」



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