第4章 4.
「『平家物語』の『扇の的』です。
那須様の話はこれしか覚えていなくて…
でも、13〜15歳の少年少女が学ぶ教材になるほど有名ですよ」
「信長公は……
正直、有名すぎて何をどう話せばいいのか…」
沙夜はうーん…と腕を組んで唸る。
そしてぽん、と手を打った。
「そういえば、刀が有名になってましたね。
最近では、『刀剣女子』なんて言葉が出てましたし。」
信長たち三人は意味がわからないと首をかしげた。
「な、なんじゃその『刀剣女子』とやらは」
「『刀剣○舞』という、一種の遊戯から生まれた刀好きの女性たちのことですよ。
私もやっていたので、画像ありますよ。」
今見せますね、と沙夜は荷物を漁って板のような物を取り出した。
これはi○odという音楽を聴くための端末だと、簡単に説明を受ける。
沙夜は端末に指を滑らせると、ほら、と見せた。
そこには様々な容姿をしながらも、見目麗しい男たちの絵が映されていた。
幼い少年の姿の絵もあるが、中には見た目少女にしか見えないものもあった。
その子も立派な男の子だと、沙夜は言った。