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死神に教わる甘え方。【R-18】

第4章 12月16日【あと8日】


「ごちそうさまでした」

お代は森下先生が全て払ってくれた。私も払うと言ったのだけど、男のプライドってのがあるんだよ、と店長に止められた。そんな事言われたら、引き下がるしかない。それ以上粘ったら、逆にわがままになってしまう。

「いいよ、これくらい。俺が誘ったんだし」

この間までの森下先生とはまるで別人でびっくりする。こんなにも変わるものなのか、と。

「また来てくれよ〜。お嬢ちゃん、今度は一人でもいいからな?そんで俺とふたりで楽しもうぜ」

「おい、航平。客を口説くな」

会員制というこの店の決まりはどうした。

「あの、お嬢ちゃんって呼び方、止めてもらっても?森下さんと同い年なんでしょう?なら、私ともタメじゃないですか」

それもそうだな、と店長がにかっと笑う。まったく、なんて眩しい笑顔なのだろうか。

「お嬢ちゃんの名前は?」

「椎名みさきです」

店長が大袈裟に悩む仕草を見せる。

「それじゃあ、みさきちゃんで!」

「だめに決まって────」

「はい、いいですよ」

え?あれ?
今、森下さん、だめって言った?

「やったー!みさきちゃん、よろしく!いつでも店に来いよ」

「ありがとうございます、店ちょ……航平さん」

私の隣に立つ森下先生が、がばっと私の方を見る。

「悪いな、洸。どうやら、俺の勝ちのようだ」

ふはははは、と少々うざ……鬱陶しい感じの笑い方で森下先生をどやっとでも言わんばかりの顔で見下す。身長は余裕で森下先生の方が上だけど。

「もう出よう!もう来ないからな!」

森下先生に無理やり腕を引かれ、路地裏から表通りに出る。



幼馴染み……。
仲良くていいなぁー。
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