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死神に教わる甘え方。【R-18】

第1章 突然に現る


「早死?」

「ええ、そうです」

早死……。
え、ちょっと待って。

「それは困る!」

私が叫ぶと、死神がそうでしょうそうでしょうと頷く。

「だって、まだしなきゃならないことがたくさん残ってるもん!」

「え!?あ、そっち!?」

「生徒の懇談の内容を考えなきゃだし、今年は受験生を受け持ってるからその子達をちゃんと見届けて、それから新1年生を迎える準備をしなきゃだし……ああ、やることがいっぱい!だからまだ死ねない!死ぬんだったらもうちょっと待って!」

「ええ!?いやだから」

「今は12月だから……せめて来年の4月!」

いやでも4月も忙しいし……。せめて、5月……いや、5月も………。

「だからあなたに早死されると困るのです!」

意外な発言に私は、へ?と聞き返してしまう。死神=人の魂を狩る、じゃないの?

「先ほども言った通り、あなたはまだあと60年は生きることになっています。つまり、あなたは今26歳なので、90近くまで生きられるのです。ですが、このままではあなたは早死してしまいます。それは俺たちにとってはすごく困ることなんです。とは言っても、人間のあなたには分からないでしょうけど」

「あー、分かるわ」

「ええ!?」

「あれでしょ。要するに、課題の提出期限を過ぎても困るけど、早すぎても困るってやつ。分かるわ。すごく分かる」

腕を組んで、うんうんと頷く。
いるのよね。私のクラスにも。課題を遅れて出す生徒と、早く出来ちゃったからって期限の1週間前に提出してくれる生徒。期限通りが一番いいのに。

「わ、分かってくれてありがたいです。まあつまり簡単に言うと、あなたがその性格のせいで早死してしまうのを俺は救いに来た、という訳です」
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