第10章 〜10〜
その頃。
そんな話をされているとは露知らず。
私は三成くんに挨拶する為に向かっていた。
「三成くん」
「ああ、様。信長様のお話は終わられたのですか?」
「うん。みんなの所行ってこいって」
「そうですか。様とお話したかったので嬉しいです」
そう言って三成くんは輝くように笑った。
(この笑顔の破壊力やばいな……)
そう思っていると政宗がお盆を持って隣に来た。
「、これ食ってみろ」
「ん?わあ、美味しそう……」
「美味しそうじゃなくて美味いんだ。」
「もしかして政宗が作ったの?」
「ああ」
「すごい……」
お盆の上にはお酒に合うようなおつまみが沢山乗っていた。
どれも手の込んだ切り方や作り方の料理ばかりで感心してしまう。
「ほんとに料理好きなんだね」
「見てばっかいないで早く食え」
「うん。いただきます」
根菜の煮物を口に入れる。味が染みていてとても優しい味付けで、思わず笑が零れる。
「どうだ?」
「美味しい……!」
「ふ、それは良かった」
政宗は嬉しそうに笑った。
その後も色んな料理をつまみながら政宗と料理論に花を咲かせていると、三成くんと家康さんが口喧嘩している様な声がしてそちらを見る。
「家康様、気になさっているなら、話しかければ良いのでは?」
「はぁ?誰が気になってるって?」
「様です。」
「どこをどう見て俺があの人を気になってると思ったの」
「いえ、ちらちらと見ているような気がしたので……違いましたか?」
「……ちっ……三成うるさい」
「???」
「政宗、あの2人仲悪い……?」
「ふっ、三成は家康と仲良くしたいみたいだが、家康はそんな三成がうざったいみたいだな」
そう笑いながら政宗が言う。
「ふぅーん」
二人の姿は喧嘩するほど仲がいいというか、子犬がじゃれ合ってるみたいで少しだけ微笑ましかった。
政宗と顔を合わせ、クスリと笑うと、家康さんと目が合った。
「あ、そうだ。」
そう言うと私は家康さんの所へ行く。