第48章 〜
ここに来る前、家臣に何度も手伝うと申し込まれたが有難く思いながらも断った。
どうしても全部自分でやりたかったからだ。
何時間もかけて籠が収まる大きさに掘り終え枯葉を敷き詰め、その上に静かに籠を置いた。
最後に籠を開けて安らかな顔で眠る優良の顔をじっと見つめた。
「...じゃあな。先に行って待ってろ。案外俺もすぐに行けるかもしれないし、何年も先かも知れない。.....でもいつになろうとと1番にお前を探すよ」
優良の頭をそっと撫でて綺麗な髪をひと房掴むと、懐から小刀を出して切り取った。
「怒るなよ...?御守りとして持っておきたいんだ。お前を忘れない為に...」
髪の毛を手ぬぐいに包み込んで懐に大切にしまい込み、最後に笑って伝えた。
「優良...愛してる。ずっとお前だけを」
目に焼き付けるように顔を眺めて蓋を閉めた。籠の上に枯葉と小枝を乗せて火を放った。
徐々に燃え広がっていくのを見届けながら、悲しみも悔しさも一緒に煙となって消えていくような気がした。
燃え尽きるのを見届けると、辺りはもう夜更けになっていた。
最後に墓石を立てて、花を供えた。
「よし...じゃあ、また来る」
そう言い残し、俺は城へと戻った。