第10章 〜10〜
「……様は寂しく無いのでしょうか」
「ん?」
「未来からお1人でここへ来て……家族も友達にも会えなくて……寂しくはないのかなと……。今日半日ですが一緒に居て、そういった雰囲気を微塵にも出さなかったので少し心配になりまして……」
「まあ、全く寂しくないわけではないだろうな。全く知らない世界に来たら誰だって不安だろう。」
「…………(あの時の私もそうだったな……)」
「どうした?」
「……いえ、私の昔の話を思い出しただけです。お話の途中に失礼しました。」
「大丈夫か?俺でよければ話を聞くぞ?」
「……本当に大丈夫です。お話を続けてください。」
優鞠は、真面目な顔で秀吉に言った。
「そうか……まあ、何か話したい事があったら声をかけろよ?いつでも聞いてやるから。」
そう言うと秀吉は優鞠の頭を優しく撫でた。
「……っ」
「まあ、見張りなんて大層なもんじゃない。あまり深く捕えずにがこの城で楽しく過ごせるよう、お前が手助けしてやって欲しい。」
「……はい。わかりました。」
「よし。じゃあ宴に戻るぞ。」
「はい……」
そうして秀吉は先に広間へと戻って行った。
(優しくしないで。可能性なんて少しも無いのに期待してしまうから。秀吉様にとって私はただの女中の1人なんだから。でも……前より近くで働ける……それは嬉しい……でもあんまり欲を出さないようにしないと……。前みたいに居ずらくなって辞めるなんて嫌だし……気持ち入れ替えなきゃ。)
優鞠はそう決意を改めながらの元へと戻っていった。