第10章 〜10〜
(なんで……秀吉様と……)
顔が綻びそうになるのを抑えながら、優鞠は秀吉の後について行く。
「すまんな。あの説明だけでは不安に思っただろ?」
「はい……信長様は様の事を……」
「いや、そうじゃない。」
優鞠は訳が分からず秀吉の顔を見上げる。
「信長様は、を手放したくないだけだ。」
「?」
「本能寺での事はお前も聞いたな?」
「はい。様が燃え盛る本能寺から信長様を助けたと……」
「そうだ。が助け出してくれなかったら、信長様はここに居なかったかもしれん」
「……そんな……」
「に助けられた事が幸運だったと、信長様御本人も仰ってる。だから、を自分の城に住まわせれば、また幸運が舞い込むかもしれない。」
「そんな理由で様を城に縛り付けるおつもりですか……」
「いや、縛り付けると言うほど行動を制限するつもりは無いらしい。城下に限るが外に出たいなら外出も許可すると。それにもここでは頼る相手も住む場所も無い。俺はお互い理にかなった決断だと思う。」
「……そうですね……」
優鞠は理由を聞き納得はしたものの、少しが不憫に思えた。