第9章 〜9〜
「ふぅ……」
そう私が一息つくと、女中の女の子が跪いて私に向き合った。
「様、はじめまして。私は女中の優鞠と申します。本日私が様のお支度を手伝わせて頂きます。」
「あ、はい。優鞠さんよろしくお願いします」
「私に敬語は使わなくても結構です。気軽にお呼びつけください。」
「う、うん、わかった」
そういうと優鞠はお茶を入れ始めた。
「まだお着替えまで時間がございます。様、お茶をどうぞ。」
「あ、ありがとう」
優鞠のいれてくれたお茶を飲みながら、ほっと一息つく。
改めて部屋を見渡しながら、ここで暮らしていくんだと見の引き締まるような思いだった。
その時ふと、先ほど彼女が見せた顔が思い出されて、悩んだ末に聞いてみることにした。
「ねぇ、優鞠?ちょっと聞いてもいいかな?」
「私にお答えできることでしたら、なんなりと」
「(硬いなぁ……同世代ぽいし仲良くしたいんだけど……)さっき、秀吉さんと……」
私がそう言うと、優鞠の肩が微かに動いた。
「(?)秀吉さんと部屋に入ってきた時、気分悪くしたらごめんね、凄い嫌そうな顔をしてるのが見えた気がして……」
「……そんな、滅相もない」
「……ごめんね」
「……はい?」
「私みたいないきなり現れた素性の知れない女のお世話なんて嫌だったよね」
「……は」
「え?だから嫌な顔してたんじゃないの?」
「……違います。それに嫌な顔など、そんな失礼なことしておりません。様の見間違いかと。」
「……そっか……それならいいんだけど」
優鞠の言葉に多少のトゲを感じつつも、これ以上深く問い詰めることが出来ず、この話は打ち止めとなった。