第9章 〜9〜
「、無事に着いたようだな」
「あ、はい。なんとか歩ききりました。」
「政宗に聞いたぞ、馬に乗らず歩き続けたんだってな」
「はい。」
「偉かったな」
そう笑いながら秀吉さんは私の頭をぽんぽんした。
(また頭……多分言っても無駄なんだろうな……)
そう考えていると、秀吉さんの後ろに自分と同世代に見える女の子が待っているのが見えた。
その子は一瞬、とても苦い顔をしているように見えたが、瞬きをしている間に真顔に戻っていた。
(見間違い?だよね……)
私が彼女を見ていることに気がついた秀吉さんが、彼女を呼び寄せ話し始めた。
「、こいつに着替えを手伝って貰って支度しろ。疲れているところ申し訳ないが、今日の夜に宴が開かれることになった」
「宴?」
「ああ、信長様の生還祝いだ」
「生還祝い……」
「それと。お前の歓迎会だ」
「歓迎会……?私の?」
「ああ、そうだ。」
「別に歓迎会だなんていいのに……」
「まあそういうな。みんな新しい仲間が増えたことが嬉しいんだ。それが若い女だと尚更な」
「はあ……」
「それに、何があるかわからない今、少しでも息抜きがないとな」
そう言うと秀吉さんは優しく笑った。
「だから、疲れてる所悪いが、顔を出してくれると有難い」
「はい。分かりました」
「よし。じゃあ支度しろ。時間になったら誰かしら呼びに寄越す。それまではゆっくり休め」
「はい。」
そう私がうなづいたのを見ると、秀吉さんは女中の女の子に「頼む」と短く告げ、三成くんを連れて部屋を出ていった。