第9章 〜9〜
少しでも彼女と仲良くなれないかと、まず当たり障りのない事から聞いていこうと思い質問を投げかける。
「優鞠は、織田家に仕えて長いの?」
「今年で3年目でございます。」
「へぇ」
「上の先輩方に比べればまだまだ新人でございます」
「そうなんだ……」
そんなたわいも無い話をしていると、スッと優鞠が立ち上がった。
「様、私はそろそろお着替えの支度をして参ります。」
「あ、うん」
「その間、湯浴みに行かれては如何でしょう」
「あ、ありがとう……(湯浴みって……多分お風呂だよね?)」
そう言うと、部屋から少し離れた所にある湯浴み場へと案内された。
「こちらをお使い下さい。」
そう言うと優鞠は私に手ぬぐいを手渡した。
「支度を済ませた後、ここでお待ちしておりますので、お声かけください」
「うん、ありがとう」
そう言って私は湯浴みに行った。
優鞠はそれを見届けると、小さく溜息を吐いた。
「……顔に出てたなんて不覚だったな……気をつけなきゃ……」
そう小さな声でつぶやくと、着替えの支度をしに消えていった。