第8章 〜8〜
「な、なんでしょう。」
「政宗さんがうるさいから」
「え?」
「これ飲んで。じゃ。」
家康さんは嫌々、といった顔で謎の薬のようなものを私に手渡し去っていった。
「……お珠さん。これはなんでしょうか……」
「ちょっと失礼」
お珠さんは手渡されたものの匂いを嗅ぐと、くすくす笑い出した。
「これは、おそらく二日酔いに効く薬草をすり潰したものですね」
「え?」
「ふふ、薬草を見つけて今拵えてくれたのではありませんか?」
「うそ……」
「ありがたく飲んでおいた方がいいですよ?この薬草は効きますから」
「じゃあ……」
そう言って一気に飲み干す。
だが、かなり苦くて眉間にシワがよる。
「うう、苦い……」
「『良薬口に苦し』ですよ」
「はい……(錠剤とかないんだもんな……)」
家康さんにまさか二日酔いの薬を渡されるとは思っても無かったので、ありがたいと思う前に何故?という疑問でいっぱいだった。
「家康様は天の邪鬼ですが、お優しい方なんですよ」
「……そうですね……」
本当に嫌いな相手なら、誰に頼まれても薬なんてわざわざありがとう作って渡さないだろう。
仲良くは無理でも、睨まれない程度の仲にはなりたいな……
そんなことを考えながら、残っていた水を一気に飲み干した。