第8章 〜8〜
「様、どうぞ」
お珠さんが差し出してくれた水を飲みながら、草むらに腰掛けた。
「お疲れでは無いですか?」
「はい。大丈夫です。お珠さんとお話しながらだったから、楽しくてあっという間でした」
「ふふ、様は可愛らしいお方ですね」
そう言いながらお珠さんは微笑んだ。
年齢的には自分より少し上のお姉さんと言った感じで、未来から来たなんて言う私を蔑視ぜず話してくれるのでありがたい。
凛とした表情が素敵で、昔の女性はみんなこうなのかと羨ましく思えた。
そして少しでも戦国時代について知りたくて、あれやこれやと質問攻めにしてしまった。
「歩きながら色々聞いてしまってごめんなさい。助かりました。」
「あなたと話していると、田舎にいる妹を思い出します。ちょうど貴方と同じくらいの年頃なので」
「妹さんいらっしゃるんですね」
「ええ、もうしばらく会えてないんですけどね。あなたのおかげで寂しさが和らぎました。こちらこそありがとうございます。」
「そんなとんでもない。良ければまたお城でもお話してください」
「もちろん。さえ良ければいつでも」
「ふふ、私もお姉さんが出来たみたいで嬉しいです」
「ふふ、それは嬉しいわ」
そうして2人して笑って話していると、家康さんが無表情でこちらにやって来た。