第8章 〜8〜
「、俺の馬に乗れ」
「え……(馬は……酔いが回りそう……)」
「なんだ?嫌か?」
「いや、二日酔いだから馬に乗って揺れるのはちょっと……」
「そうか。まあ長丁場だ。辛くなったらいつでも言えよ。」
「うん。ありがとう。」
そんな会話をしていると、家康さんがこっちを呆れた顔で見ていた。
目が合うとふいっと逸らされた。
「馬鹿じゃないの」
小声でそう言われるのが聞こえたが、ここで返すと喧嘩になりかねないので聞こえなかった事にして、私は朝お手伝いをしてくれた女中さんの元へ行った。
「様、馬に乗られるのでは?」
「いえ、二日酔いなので乗りなれない馬に乗ったら余計気持ち悪くなりそうで……」
「まだお身体お辛いですか?」
「いえ、だいぶマシになりました。ありがとうございます」
「いえいえ。それでは参りましょうか」
「はい。」
そうして私は安土城へと歩き出した。