第7章 〜7〜
「明日、夜が明けたら安土城へ向かう。支度しておけ。」
「「「は。」」」
その言葉でその場はお開きになってしまった。
家康は真っ先に野営を出ていき、秀吉は家臣を呼び明日の出発について話をし始めた。
政宗は何か考えているようで思案中だという表情で黙り込んでいる。
もっと色んなことを聞かれるのではと、身構えていた自分が馬鹿みたいに思えるほどあっさりと終わってしまったことに拍子抜けしてしまったくらいだ。
(私が未来から来たって、そんなあっさり信じてくれるんだな……頭おかしいと思わないのかな………家康さんは……全然信じてなさそうだしすごい嫌そうだったけど……年下っぽく見えるけど一番常識人かもな……)
しかし、家康にはかなり嫌われてそうだなと苦笑いしながらも、簡単に私を受け入れたように見える他の3人の方が私は信じられずにいた。
もっと疑われるだろうなと思っていたのに、気が付けば信長の城で住まわせてもらえるという話にまでなっていた。
頼る人もこの時代にはいない自分にとって、ありがたい話だが、戦国武将がそんなんでいいのかと軽く不安にもなった。
(明日の朝……城に戻るって言ってたけど……何時?もう深夜だよね?ここで寝るのかな……)
朝までどうしていればいいのかと考え始めたその時。
信長は女中に酒を持ってくるように言い、運び込まれた杯を片手に私を見た。
「おい、。こっちに来て酌をしろ。」
「は、はい……」
信長は私を隣に呼び寄せた。