第7章 〜7〜
「俺様を陥れようとする人間が誰かなど予想しても仕方がないことだ。本来なら今夜失ったはずのこの命、神に生かされたとして、誰が敵であろうと撃ち殺して生き抜いてやるだけだ」
信長はそう清々しく言いのけた。
(自分が死んでたかもしれないのに……すごいポジティブというか……自信家なのかな……)
そう考えていたその時、ある事を思い出した。
「…………あっ!!!」
「、どうした」
「そういえば本能寺で、私が信長様に声をかける前、誰かと話してませんでしたか?」
「ん?どういう事だ」
「私が目覚めた時、信長様の傍に立っている男の人が居たんです。なんか、長い棒を持った人が居て、信長様に何か話しかけていたんです。そしたら、その棒を振り上げたから、なんか、嫌な予感がしてそこに向かおうとしたらその人が私に気がついて逃げていったんです……」
「ほう……(長い……棒……か)」
「その後私は信長様に駆け寄って連れて逃げたんです」
「そうか……」
「ほんとにあの人何だったんでしょう……(ん?なんか今思うとあの人どこかで……)」
私は考え込んだ。今、多少冷静になって思い出してみると、あの男何処かで会ったような気がしたのだ。
でも、この時代に来て会った人間はそこまで多くはない。今日会った人物を思い出していくと、ハッキリとは断言出来ないが1人の男が頭に浮かんだ。
(あの……川辺で最初に声をかけてきた怪しい人……?)
「、考え込んでどうした」
「いや、その本能寺で見た人と、川辺で話しかけられた人がもしかしたら同じ人かもな、って思って……」
「貴様、本能寺から逃げて誰と会った」
信長は真剣な表情で私を見た。