第7章 〜7〜
政宗に横抱きにされたまま、野営へと足を踏み入れる。
そこには思っていた以上に多い人数が忙しなく動いていた。
その一番奥、1段上がった畳の上に彼はいた。
「信長様、女を連れてまいりました」
先程までとはうって変わり、政宗が真面目な声色で言葉を発したので内心驚いた。
(やっぱり織田信長は偉いのかな…私はまだしも秀吉さん達に対する雰囲気とは変わるんだなぁ…)
「ああ、やっと捕まったか」
「ええ、家康が見つけました。それと、お話があるのは重々承知ですが、まずこの女の怪我の治療を先にさせても宜しいでしょうか」
「構わん。行え。」
「は。」
そう言うと、政宗は織田信長の少し離れた場所に私を降ろし、近くにいた家臣に、救護班を連れてくるように命令した。
ものの数分で救護班らしき人がやって来て、私の腕の治療に取り掛かった。
「おい、怪我は酷いのか」
信長様が淡々とした口調で救護班に問う。
救護班の男は慣れた手つきで治療を済ませ、包帯を巻きながら答えた。
「これは少し完治までには時間を要するかと……そして、少なからず痕が残るかも知れません……」
その言葉に信長は表情を曇らせた。
「そうか……」
「女の肌に、傷残っちまうなんてな……」
政宗も申し訳なさそうな声で私に言う。
私は2人の空気に耐えきれず言った。
「だ、大丈夫です。確かにここまでの火傷は初めてですけど、火傷なんて仕事柄しょっちゅうだったし………」
「そういう事じゃねぇ。お前女なんだぞ?」
「???」
「クククッ……やはり貴様は面白い女だな」
「???(なんで?別に大丈夫なのは本心なのに……)」
確かに火傷は痛いが、そこまで傷や痕が残ることにさして問題はなかった。
そりゃ女なら、綺麗な肌の方がいいかもしれないが、シェフという仕事柄既に残ってしまっている傷なんて沢山ある。
何故そこまで2人が顔を曇らせたのか私には理解出来ずにいた。
「その火傷、俺を助けるために負った傷だ。完治するまで責任持って面倒をみる」
「はい……ありがとうございます……」
そんな会話をしていると、野営の入口が開き、秀吉と家康が入ってきた。