第1章 未来を夢見る
仕事帰り本屋に行って連休をどう過ごすか、小説や漫画でも大量に買って引きこもろうかと考えていたところに飛び込んできたのはガイドブックのコーナー。
(今まで旅行なんて、修学旅行くらいしか行ったことないし、この機会にどっか行こうかなー)
そう思い1番手前にあった海外のガイドブックをペラペラめくってみるが、すぐ棚に戻した。
(……パスポートないし、海外は今からじゃ遅いか……)
そして目に付いたのは京都のガイドブック。
(そう言えば初めての旅行は京都だったなー。修学旅行だけど。)
と、振り返りたくもない過去を振り返りながらページをペラペラめくる。
(あ、そうだ。来月のフェアのテーマ京都にしようかなぁ)
私が働いている店ではシェフが持ち回りで月1、各自テーマを決めてメニューを作るという多少めんどくさい催しがあって、来月の担当は私だったのだがまだ何を作るか決めてなかったのだ。
(京都の食材を使ったデザート……とか?見た目は和菓子みたいに美しいけど食べると味はイタリアン……とか?)
頭の中でどの食材を使うか考え始めた。
(よし、京都行って色々食べ歩いてみるか。時間は無駄にあるしね。)
手に取ったガイドブックを購入するため、レジに向かおうとした時、派手な丁重のガイドブックを見つけた。
(これも京都だ……って「イケメン武将ガイドブック」?はぁ?武将がイケメンな訳ないじゃん。教科書の絵からして皆おっさんじゃん……)
半ば馬鹿にした気持ちで手に取ってみる。
(そりゃこの絵はイケメンだけど……武将がイケメンでもそうじゃなくてもよくない?強いかどうかじゃないの……?)
イケメンという単語と戦国武将があまりにマッチしなくて苦笑いでページをめくっていくと……
(あ、戦国時代の甘味特集だって……しかも今もやってるお店たくさん載ってる……これ便利そう……)
多少の恥ずかしさはあるが、仕事に必要そうな情報がたくさん乗っていたため買うことを決めた。
(まあ、イケメンには興味無いけど、レシピ考えるのに使えそうだし買うか……)
そうして2冊のガイドブックを購入し家路に付いた。