第1章 未来を夢見る
私は20代半ばのどこにでも居る普通の女だ。
そう、見た目は。
今でこそ普通の年相応の女の子として生きれているけど、未来に希望なんてないし、誰にも言わないけど、実はいつ死んでも構わないとさえ思っている。
でも自分で死ぬのも馬鹿らしくて、今も普通に働いてたまに友達と遊んでなんとなく生きてる。
仕事はイタリアンのシェフ。小さい店だけどそこそこ客も入ってるし売上も上々。
でも自分の店を持つために修行してるとか、いつか親の店を継ごうとかそんな大層な目標は全くない。
ただ料理が好きで、そして生きるためにこの仕事を選んだだけ。
でも料理してる時は無駄なことを考えなくて済むからありがたい。
でも明日から2週間もの間、お店は改装工事のためにおやすみ。
私の仕事も、欲しくもないのに長いお休みというわけで。
工事を手伝おうと思っても、業者におまかせだから私にやる事はないし、「今までろくに連休もあげられなかったから、この機会に休んで!」と、オーナーと料理長に言いくるめられてしまった。
小さい店だから系列店でヘルプということも無く、この店で働き始めてから初めての大型連休に戸惑っていた。