第1章 未来を夢見る
本屋から家に帰ってお風呂に入り、簡単なつまみを数品こしらえてビールを取り出し、お気に入りのソファに座って晩酌を始める。
(あ、京都いつから行こう。時間は充分あるし、3泊くらいしちゃおうかなー。新幹線と宿取らなきゃ)
ノートパソコンを取り出し、旅の手配をする。
(せっかくの旅行だし、貯金も無駄にあるし、いい旅館泊まって豪華な御飯食べようかな……なんの支度もしてないし、明後日からにしよう)
3泊分の宿と新幹線を無事に予約し、一息ついてガイドブックを買ったことを思い出した。
(ある程度いきたいお店探しておこうかな)
ガイドブックを読みながら気になるお店をパソコンで場所を調べ、スマホに情報を打ち込んでいく。
あらかた行きたいお店をリストアップし終えた頃。
イケメン戦国ガイドブックをしっかり見てみようとふと思い立ち、最初のページから読んでみる。
(京都にはお城とかお寺とか、戦国武将が関わってる場所が沢山あるんだよねー。せっかくだし、ずっと食べてるわけにもいかないし、観光もしようかな。)
ガイドブックには、イケメンに描かれた武将達の誕生日や没日、住んでいた城や使えていた主を始め、歴史の教科書では得られない情報がたくさん載っていた。
(流石イケメン武将を推すだけあるね、凄い情報量……
へぇー、伊達政宗って料理好きなんだー。え、織田信長って金平糖好きなの?ふぅーん……)
そして、巻末には戦国時代の年表も書かれていた。
【1582年に本能寺の変にて織田信長死去】
【本能寺はその時火事にて焼け落ちました】
(本能寺の変って、授業で習ったけど戦って死んだんじゃなくて焼け死んだんだ……ふぅーん……)
特に何か感じた訳でもないし、歴女でもないのに、何故かその一文が心に引っかかった。
(武将なのに焼死なんて悔しかったかなぁ)
まさか自分がその場面に遭遇するなどと思うはずもなく……
そうしてガイドブックを読み進めながら夜は更けていった。