第15章 〜15〜
「家康、隣いいかな?」
「……」
家康は私の顔を見ると、すっと隣を空けてくれた。
ありがたく隣に腰掛ける。
すると女中さんが夕餉を運んできてくれた。
「様、どうぞ」
「ありがとうございます。今日のも美味しそうですね」
「ふふ、ありがとうございます。どうぞごゆっくり」
女中さんは微笑むと奥へと消えていった。
「いただきまーす」
私が手を合わせて食べ始めると、家康が短くため息をついて箸を置いた。
「…………」
「(なんか、悩んでる?)家康、どうかした?」
「……別に」
家康は優鞠と再会して、久々に話せて、自分を覚えていてくれた事が嬉しくて。
同時にこれからどう優鞠と接していこうか少し悩んでいた。
今すぐ自分の物にしてしまいたい。
でも、優鞠の為を思うとそう事を急ぐのもどうかと考えてしまう。
ただでさえ10年以上離れていて、2人の環境は近い様で遠い。
近付きたいが、嫌われるような事は避けたい。
どうすればいいのか、自分だけでは考えに詰まりながらも、そんなことを誰に相談すればいいのかさえ分からなかった。
(家康……絶対優鞠となんかあったな……でも今聞いても多分素直に答えてはくれないんだろうなぁ)
私がそう思いながら、気にしてないに風に装っていると、家康が私に質問してきた。