第14章 〜14〜
「優鞠が居てくれたから……俺は強くなれた。」
「……?」
「最初は自分が人質だなんて信じたくなかった。どうして俺がって、ずっと思ってた。でも、優鞠と会ってからは自然に強くなりたいって。優鞠と遊ぶ時間以外は稽古つけてくれって自分から志願したり、書物読み漁って勉強したり。」
「……そうなんだ……」
「本当は優鞠と……ずっと一緒に居たかった」
「え……?」
「あのころは俺も子供だったからね。自分が強くなれれば、優鞠とずっと一緒に居られるって思ってた。」
「……」
「でも、優鞠が城に来なくなってもしかしたら嫌われたのかもって。」
「……そんなことない!」
「分かってるよ」
そう言って家康は笑った。
「優鞠が遊びに来てくれなくなったのは、自分のせいだって。自分が子供で、弱くて。だから思ったんだ。」
「……?」
「いつか。自分が強くなって、武将になって、天下を取れば優鞠とまた会えるって。」
「……」
「天下一の男に呼ばれたら、優鞠だって会いに来るしかないでしょ?」
「……まあ……」
「まあ、今思えば子供の考えだけど、また優鞠と会うために。今まで俺は頑張ってきたの。」
「うそ……」
「嘘じゃないよ。」
家康はそう言って優鞠の手を握る。