第13章 〜13〜
三成くんに城内を案内して貰い、改めて安土城の広さと豪華さに感服した。
「覚えられる気がしない……広すぎる……」
方向音痴な訳では無いが、あまりに広いし廊下が入り組んでる。
これは覚えるまで暫くかかりそうだと肩を竦めた。
「大丈夫ですよ、ここで生活していればすぐ覚えられるでしょう」
「……だといいけどね」
「もし、お困りの時は私をお呼びください。すぐ駆けつけますよ」
そういうと三成くんはにっこり笑って私を見た。
「ありがとう。あ、でも三成くんっていつも何処にいるの?」
「私は、書物庫か自分の御殿、それか秀吉様の御殿にいることが多いですね。」
「秀吉さんのところ?」
「ええ。『お前は放っておくと何も食わず書物を読み続けるから、読むなら俺の御殿で読め』と言われているのです。」
「それどういうこと?」
「どうやら私は集中すると周りが見えなくなるようでして……最初は秀吉様が私を心配して、食事の時間になると、御殿まで呼びに来てくださっていたのですが、秀吉様が『めんどくさいから俺の御殿にいろ』と仰られまして……」
「ふふ、秀吉さんってお兄ちゃんみたい」
私がそう言って笑うと、三成くんは苦笑いした。
「悪い癖なので治したいのですが、やはり集中していると周りが見えなくなってしまって……」
「集中力が凄いんだね。私ならお腹すいたら集中力途切れちゃうもん。」
「秀吉様にも、『集中力が高いのもいいが、飯は食え』と口を酸っぱくして言われてるんです」
三成くんは少ししゅんとした顔で言った。
その顔が叱られた子犬みたいで可愛くて笑ってしまった。
「ふふっ。まあでも、ご飯を抜くのは私も感心しないな。私の時代では、ご飯はちゃんと食べないと、脳に栄養が回らないから、頭の回転が鈍るって言うよ?」
「そうなのですか?」
「うん。ちゃんと食べなきゃだめだよ?」
「はい。善処します。」
「ふふ」
(三成くんってほんとに弟みたいだなぁ。素直な弟って感じ。)
私がそんなことを考えていると、三成くんが立ち止まった。