第13章 〜13〜
「お食事中失礼いたします」
「三成くん」
「お迎えに参りました。」
「あ、ありがとう。急いで食べちゃうからちょっと待ってて……」
「いえ、ゆっくりで構いません。今日の午後は様の為に空けておりますので」
そういうと三成くんはにっこり笑った。
すると政宗が言った。
「俺も行く」
「ん?」
「城の案内だ。オレも同行する」
「あ、ほんと?」
私が少し喜んで答えると、三成くんがぴしゃりと言った。
「お言葉ですが政宗様、今日午後は家臣に稽古を付ける曜日では?」
「……そうだが?」
「でしたら……」
「午後の時間全てではない」
「……そうですが」
少しだけ二人の間の空気が変わった。だが、それには気が付かず言った。
「政宗、稽古行ってあげて?案内は三成くんにお願いするから……」
「そうです政宗様、皆さんお待ちですよ?」
「(三成のやつ、に関しては随分推しが強い。気に入らねぇな)……わかった。三成、頼んだぞ」
そういうと政宗は立ち上がり、私の頭を撫でた。
「、さっきの約束忘れんじゃねぇぞ?」
「あ、うん。また後でね?稽古頑張って。」
私が笑って政宗にいうと、政宗は満足そうにうなづいた。
「ああ」
そうして政宗は食事場を出ていった。
(三成の前でわざわざ言うなんて、俺も意地が悪いな。でも三成のやつ、あいつが女に執着を見せるなんて珍しい。今までどんな女に誘われても、さらっと笑顔で交わしていたくせに。……もしかして……)
政宗は三成の態度を見て嫌な予感がした。
そして1人苦笑う。
(まさか、三成と女を取り合う日が来るなんてな……。)
政宗はそう思いながら笑うと、稽古の為に自身の御殿へと戻って行った。