第13章 〜13〜
「……美味しい……。この時代の食事って質素な物ばっかりだと思ってたけど、どれ食べても美味しいね」
私は政宗の隣で昼餉を食べながら関心した声を上げた。
食事場には時間が遅くなったからか、人もまばらで私達の周りには人が居なかった。
「ここの女中は料理上手が多いからな。」
「そうなんだ……」
そういえば、一昨日から料理をしていない。
3日も包丁を握らなかった事はいつぶりかなと考えていると政宗が見つめてきた。
「ねぇ……食べにくいんだけど……」
何故見つめられるのか分からなくて困っていると、政宗が笑った。
「いや、美味そうに食うなと思ってな」
「だって、本当に美味しいもん」
(その顔が可愛くて見惚れてた、なんて言ったらこいつどうするかな)
政宗はそんな事を考えながら、優しく微笑んだ。
(もう。そんな、優しく笑いながら見られると照れるからやめて欲しい……)
政宗の心など知る由もない私は恥ずかしさが顔に出ないように注意しながら言った。
「(気にしない。気にしたら負けだ)ねぇ、今度厨房案内してね」
「三成に案内して貰うんだろ?」
「そうだけど。たまには料理したいから連れてって?駄目?」
「ふっ、わかった。いつでも連れてってやる。」
首をかしげて上目遣いで聞かれ、内心ドキッとしながらも政宗は冷静に言った。
「この時代の厨房がどんな設備なのか見てみたいし、可能なら使わせてもらいたいの。食材もどんなものがあるのか気になるしね。」
「ああ」
「未来では使われてても、今では珍しい物とか、まだ日本に入ってきてないものとかあるだろうし、自分が作れる料理考えたい」
「ああ、料理作ったら俺にも食わせろよ?未来の料理人がどんなものを作るのか気になる」
「政宗の料理美味しかったからなぁ。ちょっと緊張するんだけど。」
「俺は趣味の域だからな。仕事にしてるやつの方が上手いに決まってるだろ」
「そうかもしれないけど……」
「楽しみにしてるぞ」
「……うん」
プライベートで私が作った料理を食べたいなんて、今まで言われたことなかったので素直に嬉しい。
料理好きの政宗の為に、この時代の食材で何を作れるのか考える事が楽しかった。
何を作ろうか、考えていると、私達の方に三成くんがやってくるのが見えた。