第12章 〜12〜
2人がお互いの過去を話し合って友情を深めあっている。
その襖を挟んだ向こう側に、静かに聞き耳を立てる男が2人いた。
「そうか……も優鞠もなかなかに辛い過去背負ってんだな」
「……優鞠……」
政宗は昼餉の支度が出来たと、を呼びに来たのだが、襖の前に立っている家康を見てどうしたのかと声をかけると、家康は人差し指を口元に立て、視線で黙れと語っていた。
(ん?女の部屋で立ち聞きとは家康も罪におけねぇな)
政宗がそう考えながら、静かに家康の隣に建つと、と優鞠の話し声が聞こえてきた。
(そういえば、家康のやつ優鞠の事気にしてたな……)
そんなことを考えながら、好奇心を抑えられず耳を済ますと、優鞠が自分の過去を語っていた。
(…………)
黙って聞いていると、目の前の家康は何か考えているように苦い顔をしている。
どうしたのかと聞きたいが、話の続きを聞きたい気持ちが勝って押し黙る。
そして、優鞠の話が終わると、が続けて自分の話をし始めた。
(……あいつ、そんな風に見えないけど、色んなもん抱えてんだな……。)
少しでも自分が彼女の力に、自分が暗い過去を忘れさせることが出来ればなと、そう思った自分自身に自嘲した。
(あいつに出会ってから、まだ数日だぞ?俺も随分変わったな……)
最初に本能寺から出てきたに、声をかけたのは自分だった。
その時は特に何か深い理由があった訳じゃない。
でも、抱き上げて顔を見たその時から、無性に気になっていた自分がいた。
それから、何かあれば構いたくて触れてみたくて。
でも、深く踏み込んではいけないような気もして。
昨日、部屋まで運んでやったとき頭とはいえ口付けをしていたのは自分で自分に驚いた。
気がつけば勝手に体が動いていた。
の過去の話しを聞いて、ますますの事が気になっている自分がいる。