第12章 〜12〜
そこで、私はひとつ案が浮かんだ。
でも優鞠が頷いてくれるかどうかが心配で少しだけ意地悪な言い方をした。
「ねぇ、優鞠」
「なんでしょう?」
「優鞠は女中だから、私の話を言う事なんでも聞いてくれるんだよね?」
私が笑いながらそういうと、優鞠は首をかしげながら聞いた。
「えぇ、私に出来ることならなんでも致しますが……なんでしょう?」
「優鞠、最初で最後の私からの命令。」
「……なんでしょう」
「私に、敬語を使うことを禁じます。」
「……え?」
「あと、、様、もやめて。」
「……それは無理です。あくまでも私は女中です……」
「そりゃ、確かに優鞠が織田家に仕えてるって事は分かってる。でも私は織田家と縁はないから、私に敬語使う理由って、無くない?」
「そう言われると困りますが……でも貴方は信長様のお気に入りとして……」
「優鞠がわかったって言わないなら……」
「…………?」
「信長様から直々に敬語と様は使うなって言ってもらえば辞めてくれる?」
「そ、そんな、卑怯ですよ……!」
「だって。優鞠がお願い聞いてくれないんだもん。せっかく友達になったのに、片方が敬語に様付なんて嫌じゃん……」
「……そうですけど……」
優鞠は困りきった顔で考え込んだ。
(まあ、様は織田家の姫だって訳では無いし……敬語を使う必要ないといえばそうなんだけど……流石にそれは人目が気になる…………あ、そうだ。)
「では、こうしましょう。」
「ん?」
「今みたいに、様と二人っきりの場合の時のみ……って事では駄目でしょうか……」
「えー。」
「私は女中です。いくら様が良くても、周りの方々はそうは思わないかもしれない……私はもう周りの人に妬み嫌われるのは嫌なのです……」
「……そうだよね……ごめん。」
「……あ、いえ、様が悪い訳ではありません……」
「ううん、私もわがままだった。ごめん。」
「……そんな……」
「よし。じゃあ、私と二人っきりの時は敬語も、様も無しね!」
「……はい。」
「はいじゃなくて……?」
「……うん……」
「ふふ、よく出来ました」
「……もう……」
そうしてまた2人で笑いあった。