【ONE PIECE】アイサレたくない恋【サッチ】
第3章 Ship➤Home
元々の荷物が少なかったため、ほとんどの物を新しく買い換え、手ぶらの状態で足取り軽く新たな家へと向かう。
半歩後ろからは両腕に数え切れない紙袋、手には六つほど重ねた箱を持ち、視界が妨げられながらも器用に歩くおにーさん。
連絡が入っていたのか、海岸に数人の人影が見え、甲板でも多くの船員たちが手を振っている。
「お帰りなさーい!」
振り返していた手を止め、なんて返せばいいのか考えていると、向こうは少し距離があり聞こえなかったのかと思ったのか、さらに大きな声で再度叫んだ。
「え、ええと」
「ただいま、でいいだろ、ほら言ってやれ」
「でも、今日入ったばかりなのに」
「そんなの関係ねぇって。待ってるぞ、兄貴たち」
「…たっ、ただいま!」
手を叩いて喜ぶ姿が確認でき、ほっとため息をつく。
到着するとどうやら降りていたのは隊長さんたちで、その奥には座った船長さんがいた。
相変わらず酒を手放さずにいるが、笑顔も変わらない。
「遅かったじゃねぇか、小娘。覚悟は出来たか?」
「娘に、なる覚悟?」
「わかってんじゃねぇか」
「…オヤジ、お世話になります」
歓声が上がる中、一際嬉しそうに笑ったオヤジは私を掴みあげ船に乗せた。
荷物はどうなるのだろうかと船員たちにひっちゃかめっちゃかにされつつ下を覗くと、隊長さんたちが一緒に上げていて、そのためだったのかと少し笑う。
その日の夜に出航し、見送りに来たマスターと涙ながらのお別れをした後は、甲板で宴が始まった。
「よっ隣座るぜ。腹空いてねぇか?お嬢ちゃん」
「空いたークリームパスタ?」
「当たり」
「やった!おにーさんのクリームパスタ好き」
「おにーさんじゃねぇって」
「お嬢ちゃんじゃねぇって」
顔を付き合わして笑って、グラスを鳴らした。
マスターと三人で飲んだ日が懐かしくて、もうそんな時間は過ごせないのだと少し寂しくなるけど、あの日捨てた夢が私に託されてる限り、私の目的は消えないし諦めないと決めたから。
今度は家族と飲もう。
「ねぇ、サッチ。私"可愛い"?」
「ああ、なまえは"可愛い"よ」