【ONE PIECE】アイサレたくない恋【サッチ】
第2章 Customer➤Family
思考が後ろを向くと、意志とは関係なくひとり歩きをしてしまうのは、万人共通だと思う。
深くため息を吐いたところで、マスターがお詫びだと言わんばかりに明日一日休みをくれた。
その発言を聞き漏らすはずもなく、おにーさんが間髪入れずに船に来いと言い、町ですることもない私はお邪魔することにした。
クリームパスタ、と言うと笑って頷く。
落ち込む気持ちとは反対に頭には花が飛んでいて、その喜びはクリームパスタなのか、それともおにーさんと過ごせることか、前者であると納得することに尽力した。
「これが俺たち白ひげ海賊団の船、モビーディック号だ!」
「…大きいねぇ」
「その分人数も多いからな」
まず通されたのは船長室で、たくさんの管をつけた大男に気圧されながらも頭を下げると、近寄るように手招きされた。
少しばかりの警戒心と共に歩み寄れば、その大きな手で包み込むように頭を撫でられ、思わず頬が緩む。
私、"可愛がられてる"。
「今日は何しに来た?娘になる挨拶か?」
「違うよ、クリームパスタ食べに来たの」
「クリームパスタァ?」
「おにーさんがね、作ってくれるんだって!世界一美味しいの」
「世界一とは言ってねぇだろうが」
「違うの?」
「違わないけど」
その会話中もひたすら撫で続けていた船長さんはやがて脇下に手をいれて、と言っても片手だったのだが、膝の上に乗せた。
思った以上にかたくて、不安定で、居心地はあまりよろしくなかったけど、気を許してもらえてるんだとプラスに考える。
調子乗って四つん這いで移動しても、おにーさんが慌てただけで船長さんはグラララ、と独特な笑い声をあげるだけだった。
「変な感じー」
「おい馬鹿、そのへんにしとけ」
「いいさ、気にすんな」
「しかしだなぁ」
「…お腹空いた、クリームパスタ…」
「グラララ、食ってこい」
ご機嫌な船長さんに手を振って部屋を後にし、今度は食堂へ案内される。
食後のデザートまでご馳走されて、甲板で一緒に昼寝して、船内を案内してもらって、最後にまた船長室に寄った。
こんなに楽しい休日は初めてで、興奮が収まりきれないのを知ってか、第一声に勧誘。
思わず頷いてしまいそうになった。