【ONE PIECE】アイサレたくない恋【サッチ】
第6章 Trouble➤Problem
能力の範囲を最大限まで広げ、声を聞き逃さないように集中する。
…大丈夫、まだ距離はある。
しばらく動いてないことからして店にいる可能性が高い。
雑貨系統か、レストランか、後者だと嬉しいのだが、と考えたところで襟元を引っ張られた。
「さっきから何考えてるの」
「どんな刀がいいかなぁって」
「武器屋過ぎたけど?」
「えっ」
「嘘」
両頬を手加減なくつままれ涙目になった時、すぐ近くで例の声。
まさか、もうこんな近くに?
慌てて周りを見渡すも姿は見当たらず取り敢えず安心するも、今度は頭を叩かれついイラッとする。
「もう、何なの!」
「はぁ?何なのはこっちの台詞なんだけど!人の話も聞かないで何を」
「あら?なまえ?」
周りの喧騒が耳に入らなくなる。
心臓がとまった気がした。
「お母様、ここよ!」
「…ああ、違う人か。同じ名前なんて偶然…なまえ?」
髪色、ふわふわとした長いスカート、声、名前。
私と瓜二つ。
母親の腕に抱き着いた"ワタシ"の頭を愛おしそう撫でる。
それは、私じゃない。
「ああ、なまえ。あなたは素直ななまえなのね」
「私はなまえよ?ふふ、変なお母様」
「そうね、そうよね…"アイシテル"わ、私のなまえ」
「私も"アイシテル"わ、お母様」
ーこんにちは!おばさん
ーあらこんには、なまえちゃん。相変わらず礼儀正しい子ねぇ
ーそうでしょう?ふふ、自慢の娘ですの
ー私たちの愛し合ってできた子どもだからね
ーどうして?お父様、私のこと愛してるって言ったじゃない!
ー愛してる?馬鹿を言うんじゃない、誰がお前なんかを愛するものか!不倫相手とできた子どものくせに
ーなんで…
ー妻の頼みだから聞いてやったんだ。でなければお前を愛してるだなんて嘘でも言いたくないさ
ー嘘…
ー生まれなければよかったのに
ー愛してるわなまえ…私の大事な大事な娘
ーお母様は私を愛してる?
ー勿論よ
お父様は私を愛してて愛してなくて、お母様は私を愛してて、でも私は本当の子どもじゃなくて。
"アイサレ"てるのに"愛され"てはない。
「なまえ!」
「…思い出した」
「思い出した?何を」
私の、忌々しい記憶。