【ONE PIECE】アイサレたくない恋【サッチ】
第5章 Ignorant➤Power
「島だー!しーまーがーみーえーたーぞー!」
一度目やった時はあんまり反応がなく隣にいたハルタ隊長に鼻で笑われたので、拡張器を借りてきて精一杯叫んでやった。
耳を抑えている彼を見てしてやったり。
今度こそ大きな反応が返ってきて大満足したところで、甲板の端に座り込んだ。
ナースの護衛とは本当にやることがないのだ。
掃除、洗濯等の雑務は隊の中で分担されているし、女性チームは各自行うというのが鉄則のルールらしい。
たしかに男性と違って色々あるしそっちの方が都合はいいのだろうけど、如何せん暇である。
「寝るなら部屋いきなよ、あんまあったかい気候じゃないから」
私の中でオカン的地位を獲得したハルタ隊長は、そうは言いつつも隣に腰をおろした。
「膝枕」
「はぁ?今の話聞いてた?」
「大丈夫だもんー調節するからー」
あぐらをかいたまま好きにすれば、とのお許しが出ていそいそと移動する。
筋肉があっておねーさんみたいに柔らかいわけじゃないけど、頭を撫でられてそんなものはどうでもよくなった。
「うわ、ほんとだ。あったけぇ風」
「便利でしょー」
「やばいわ。これから昼寝する時呼んで」
「めんどくさ」
島が近づくにつれて喧騒が大きくなり目を覚ました時、何故か周りにはエース隊長やら顔見知りの船員やらが寝転がっていた。
実に驚いた。
しかし私の風を纏っているのはハルタ隊長だけなので、このままでは風邪を引いてしまうと範囲を広げる。
島に降りる前に疲れたくなかったけど仕方ないと思い直し、寝てるのをいいことに一度起き上がり、あぐらの上に座って上半身を預けた。
「あ、これ結構いいかも」
暖かい風に吹かれて再度眠りにつこうとしたが、背後から伸びてきた腕が頬を挟み完全に目が覚める。
「なにひゅるの」
「お前が何してんの」
「いい感じにあったかいです」
「感想を聞いてるんじゃないんだけど」
「眠気覚めちゃったーもう上陸できるかな」
「このマイペースが…」
それは今に始まったことではないので笑い飛ばそうとしたが、微かに聞こえた声に硬直する。
今の、は。
突然立ち上がり先頭の方へ走った私を怪訝そうに見つめながら後をついてくる。
耳をすまして、やはり確信した。
両親がいる。
故郷とともに捨ててきた親が、何故こんなところに…?