【ONE PIECE】アイサレたくない恋【サッチ】
第5章 Ignorant➤Power
彼女たちの姿はなくいつも通りの食堂だったので、エース隊長は持ってくるから空いてる席に座っておくよう私に言い残して厨房へ向かった。
たしかにこの両手じゃ何も持てそうにないので素直に従おうと腰をおろすと、向かいにイゾウ隊長が座る。
「こんちには」
「おう。なまえ、それどうした?」
「えっ」
あまりバレたくなかったから湿布と包帯を巻かれた手は下に隠しておいたのに、いとも簡単に見抜かれてしまった。
「傷か?…違ぇな、火傷か」
「あはは、気にしないで、私の不注意だから」
「不注意、ねェ」
頬杖をつきながら探るような視線を送ってくるこの状況を打破したくて、キョロキョロしていたところに両手に皿を持ったエース隊長と、紅茶をお盆に載せたサッチが現れる。
タルト生地に甘そうなフルーツがたくさん、涎が出そうな一品に歓声を上げた私を嬉しそうに笑いどうぞ召し上がれ、と言った。
さっそく、とフォークを持とうとして、痛みが走り音を立てて落としてしまう。
慌てて立ち上がったのはエース隊長とサッチで、イゾウ隊長は落ち着いているものの眉をひそめていた。
「なまえ!これどうした?」
「ええと」
「火傷…か?…まさか、エースくゥん?」
あからさまにびくついた彼に素直すぎると笑みがこぼれた。
「いーの。大丈夫だから。怒んないで」
「はぁーったく…食わせてやるから口開けろ」
「わーい!」
小さくまた謝ったエース隊長に気にしすぎだ、と返して微笑むと、やっといつもの太陽のような笑顔を見せてくれる。
介護をするがごとく優しくゆっくり口に運んでくれるサッチにここぞとばかりに甘え尽くしたとある昼のお話。