【ONE PIECE】アイサレたくない恋【サッチ】
第5章 Ignorant➤Power
先ほどの怒りはおさまったようで安心するが、一歩前進されては一歩後進する繰り返し。
「気のせいだよ、火傷なんて」
「じゃあ見せてみろ」
「いや、あの…いっ?!」
気配なく背後に回ったマルコ隊長が私の手を掴みあげた。
患部にもろに当たったわけで、激痛が走り涙が出る。
「なまえ…すまん…」
「さっさと医務室へ連れて行け」
別に足は怪我をしてないから普通に歩けるのにおんぶを強制され、かつたどり着くまでひたすら謝れ続け、たかが火傷で心苦しくなった。
治療を受ける私の隣で床に正座説教を聞かされてるエース隊長はいつもの感じではなく、本当に反省している様子で段々申し訳なくなってくる。
「別にこれくらい、大丈夫なのに」
助けるつもりで呟いた言葉は逆効果で、もっと自分を大切にするようおねーさんには怒られたし、そしてエース隊長にも怒られた。
「あまりひどい火傷じゃなくてよかったわ。しばらくは痛むと思うけど…」
「ありがとーおねーさん」
豊富な胸を押し付けられるように抱きしめられ、穏やかな気持ちで抱きしめ返すと風がおねーさんをも纏う。
いつもみたいなサラサラとした風じゃないふわふわとした風で、もしかしたら私の心境に影響するのかもしれないと新たな発見。
「そう言えばサッチ隊長があなたのこと探してたわよ。新しいお菓子ができたとか」
「あー、うーん」
「…あの子たちのこと、許してあげて。悪気はないのよ」
「…うん」
「それから、ごめんなさいね。せっかく手伝ってくれたのに、嫌な思いをさせちゃったみたい」
「それはいーの。しょうがないよね」
聞き分けのいい子は好きよ、と頭を撫でたおねーさんは仕事に戻っていき、エース隊長と一緒にもう一度食堂に行くことにした。
歩みがいつもよりゆっくりなことに気付き、顔を覗くも別段変わりはない。
「大丈夫?」
「おう。止めてくれてありがとな、なまえ」
「えへへ」
「あーもー可愛い妹だなぁ!」
頭をぐしゃぐしゃに撫でられ、髪が乱れてしまったけど嬉しさの方が勝って笑った。