【ONE PIECE】アイサレたくない恋【サッチ】
第5章 Ignorant➤Power
後から聞いた話によると、彼女たちはつい先日戦った海賊船に乗っていた奴隷らしい。
力を完全に制御出来るまで戦闘禁止令を出されていた私はずっと大人しく船長室にいたから知らなかったけど、随分と扱いが酷かったとみえた。
でもその海賊と私たちを一緒にされるのは少し悲しい。
「仕方ねぇよなぁ、海賊ってそういうもんだし」
「俺たちも似たようなことはしてきたからねい」
「どうでもいいが、お前のその風は防御璧にもなるんだな」
実際兄たちは気にしていないようで、食堂ではいつも通り食後のティータイムを楽しんでいた。
「悔しくないの?侮辱されたんだよ?」
「んなもんいちいち気にしてたらやってけねぇんだよ」
「そうそう、綺麗さっぱり忘れちゃいな」
そんなものなのか、マルコ隊長なんて怒るかと思ったのに。
誇りとか、一番気にしそうなタイプ。
「誇りにもな、色々あるんだよい」
「薄っぺらいプライドは持つなよ、なまえ」
「はぁい」
よくわからなかったけど、そういうものらしい。
その後オヤジに呼ばれていると聞き船長室へ向かうと、戦闘禁止令解除と所属決定を言い渡された。
そう言えばまだ決まっていなかったなぁ、と思いつつ静かに待つ。
「いいかなまえ、よく聞け。俺は女の戦闘員は乗せねェ」
「うん」
「だがお前は前に言ったな、守られるのは嫌だと」
「うん」
「その時俺は何て答えたか覚えてるか?」
「何かを守れるように強くなれ」
「そうだ。その何かは見つかったか?」
まさか聞かれるとは思っていなくて、考えたこともなかったので黙り込む。
私はまだ弱いから兄たちに守られてばかりで、だけど兄たちを守るためにこの船に乗ったんじゃなくて、ただマスターの夢の続きを見るためで。
ぐちゃぐちゃになった頭を鎮めるかのように、オヤジは手を置いた。
「お前の大切なもんは何だ?」
「大切なもの…?」
「ああ、大事で大好きなもんだ」
「この船で?」
「ああ」
「おねーさん」
豪勢に笑い出し、点滴の様子を見ていたおねーさんには私も大好きよ、と頭を撫でられ頬が緩む。
抱きつけば抱き返される、幸福な時間。
「決まりだ、娘よ」
「ん?」
「お前のナースの護衛だ」