【ONE PIECE】アイサレたくない恋【サッチ】
第5章 Ignorant➤Power
数ヶ月の鬼のような特訓を終え、私は常に微かな風を纏うようになった。
そのため髪や長いスカートの裾が揺れたりして、儚げな雰囲気がすると兄たちに言わたがこればっかりはどうしようもない。
航海士の仕事に手を出したくはないので誰にも言ってないが、エアエアの実で得た能力の一つに気候を完璧に悟るものがある。
勿論強制的に操ることも出来るし、無から発生させることも可能だが、その代わり頭痛に襲われるようになった。
微かな変化にも反応してしまうため大々的な操作をしない限り治まらないし、消耗も激しいため燃費が悪く、考えた末に自分の周りだけ気候を安定させることにしたのだ。
人の順応力というものは恐ろしく、慣れてしまえば逆にないと落ち着かなくなる。
「おーねーえーさーん」
ここ暫く行けてなかったナースセンターの扉を開くと、多くの見知らぬ怪我だらけの女性が一斉にこちらを向いた。
「あらなまえ、久しぶり。修行は順調?」
「うん、ある程度は使えるようになったよ」
「そうなの!流石は私たちの妹だわ。もっと話聞きたかったのだけど、ごめんなさいね。今立て込んでて」
「手伝う?」
「まぁ、いいの?じゃあこのガーゼを濡らして一番奥の女性を拭いてもらえる?」
奥へと進めば進むほど突き刺すほどの視線を感じ居心地が悪くなる。
いつもはこんなんじゃない、穏やかな場所なのに…どうして憎悪にまみれてるの?
声をかけまずは腕からと伸ばした手はガーゼと共に叩き落とされ、困惑した上に罵声を飛ばされ何が何だかわからなくなる。
私なにかしたっけ。
「あんた、何なの?ここのクルー?」
「そうだよ」
「海賊が、私に触らないでよ」
「…どうして?」
「何もかも壊して、奪うくせに。卑怯卑劣で残酷で、私利私欲のためにしか動けない奴らのくせに!」
「どうせここのナースさんたちも攫ったか脅したかしたんでしょ?最低ね」
「違うよ?」
「違うですって?馬鹿言ってんじゃないわよ、私たちは見てきたんだから」
「…何を見てきたのかはわからないけど、ここのおねーさんたちは皆自分の意思で、私たちを支えるために乗ってるの」
一瞬の沈黙の後、四方から食器やら寝具やらが投げられる。
勿論それは私に当たる前に纏った風によって粉々になるわけだけど。
身体に傷がつかなくても心が痛かった。
