【ONE PIECE】アイサレたくない恋【サッチ】
第4章 Unknown➤Known
「少しいいかい」
「どーぞ」
「荒くれ者を一人で数人片付けるとは聞いていたが、なかなかの腕じゃねぇか。独学か?」
「そう。酒場で働いてたから、ちょっとした酔っ払いくらい倒せるようになろうと思って」
「なーるほどねぇ」
「それにしても、無駄な動きがないとは言わないけど少なかったよね」
隣でマルコ隊長が頷いたのが見えた。
野次馬をしていた人たちはただ楽しんでいたようだったけど、隊長さんたちはそういうところまで見ていたのか。
もしかして、私の所属先を決めるためだったりとか?
「私、所属いつ決まるの?」
「決め倦ねてんだ。オヤジは女性戦闘員を乗せねぇからなぁ」
「私戦っちゃ駄目なの」
「そこなのさ、問題は。まぁオヤジの方ではもう決まってるみたいだけどね」
よくわからなかったけど、お風呂に入ってくるよう促されたから素直にその場を去る。
与えられた自室に寄って女性浴室で汗を流し、濡れた髪のまま食堂についた頃にはおやつの準備が整っていた。
「ナイスタイミング!だけど髪の毛はちゃんと乾かさないと駄目だろ」
「めんどくさいー」
「ま、取り敢えず食ってろ。タオル持ってくっから」
別にいいのに返事も聞かずに出ていってしまったから、仕方なくカップに手をのばしアールグレイを味わった。
お気に入りの紅茶も、温度も、カップの大きさもピッタリで、流石としか言いようが無い。
ガトーショコラも言っていた通り口溶けほろ苦い味で好みにベストマッチング。
「美味しいー」
「いつもすげー幸せそうに食うよな、お前」
「…火の隊長さん」
「おう、エースだ!よろしくな、なまえ」
「よろしくー」
向かいに座った彼は頬杖をついてこちらを見ているからどうにも食べにくくて、フォークを置いた。
不思議そうな顔をして、私と残ったガトーショコラを交互に見て、いらないのか?と尋ねる。
「要らなくはないけど」
あなたが見てると食べにくいんです。
「一口食べる?」
「食う!」
嬉しそうにくいついてきたあたり、食べたかったのだろうか。
サッチのことだからもっとたくさん用意してそうだけど。
「ああ?なに人の食ってんだてめぇ、厨房置いてあるからそっちにしろ」
「マジで!」
走っていった先で何かが割る音がして、背後からため息が聞こえた。