第5章 約束
「ケニー…」
リヴァイさんが隣でボソッとケニーさんの名前を呼び捨てで呼んだ
え…?なんで呼び捨てなの…?
私の視線に気づいたのかリヴァイさんはハッとした
リヴァイはその時こう思っていた
また…こいつも死ぬのか…俺を…残していくのか…
吐血が始まったら…死のカウントダウンだ…量が多くなるほど死が近いということになる…絶望だ…皆…俺から…大切にしてきたヤツがどんどん死んでいく…あいつらも…俺から…
リヴァイにして珍しく後ろ下がりの思い込みだった
夢歩はそのリヴァイの瞳を見るとどこか悲しそうで寂しそうでその瞳には影が落ちていた光など無かった
「リヴァイさん…?」
「!?…なんでもねぇ…」
夢歩も次第に不安になった…リヴァイの体は密かに震えていた
まるで失うのが怖いかのような…そんな感じだった
夢歩は聞いてはいけないことだとすぐ分かった
知ってしまったら私も普通では入れなくなりそうだからだ
「とりあえず…しばらく様子見だ…夢歩頼んだぞ」
「あっ!はい!」
夢歩もエルヴィンもミケもリヴァイも…ケニー本人も吐血を見た瞬間悟った…死ぬということを…
「…ミケ、夢歩、一旦ここから出るぞ」
「え?リヴァイさんは…?」
「エルヴィン…なぜリヴァイを?」
「…いいから従え」
「…はい…」
ガラガラガラ…
「…ひでえ面だな…ケニー」
「ははっ…死神様が俺に回ってきたってことだ…リヴァイ」
ケニーはリヴァイを見るとリヴァイは不安気な表情だった
「おいおい…そんな顔で見るな…後悔になっちまう…息子の様なものだからな…」
「ハッ…後悔だ?…てめぇは俺を後悔の切り札にしてぇのか」
「もう既になっちまってるだろうが…っておい…泣きそうな顔すんな…スグには死なねぇよ…誰の義理の親だと思ってやがる」
「…すまねぇな…弱っちぃとこ見しちまった…」
「…泣きたい時は泣けばいい…だが、ものや人物に八つ当たりはするなよ?」
「分かってる…」
ドア越しに聞こえるリヴァイさんの少し震えた声…
やっぱり辛いんだ…
「…世話に…なったな…ケニー…」
「あぁ…ったく、お前は散々俺を困らせてくれるもんだなぁ?リヴァイ…」
「…」
「…とりあえず部屋から出ろ…これ以上はてめぇがもたねえぞ」
「あぁ…すまない…」
そしてリヴァイは部屋から出た