第2章 男花見
あの桃色の花が咲き誇る今日この頃。
少し町にでるだけで、満開の花を見ることが出来るうららかな春日が照る日。
新選組屯所の中を幹部達は走り回っていた。
「千鶴!」
新選組八番組組長藤堂平助は、厨に入るや否や、大きな声で名前を呼んだ。
大きな重箱に料理を詰めていた雪村千鶴は、少し肩を振るわせ振り向いた。
「平助君。どうしたの?」
「新八っつぁんが、早く食いたいってうるさいから、様子見に来たんだよ。ったく、あの人は、まだ出かけてもいないのにさ」
「ごめんね、待たせちゃって。ついつい張り切りすぎちゃって・・・」
千鶴が苦笑をしながら謝ると、平助は顔の前で大きく手を振りながら言った。
「いいんだよ!新八っつぁんの我慢が足りないだけだし」
「そういえば、よく土方さんが許してくれたよね。お花見なんて」
「まっ、近藤さんが近くにいたからな。でも、皆で花見なんて久しぶりだから、すっげぇ、楽しみだな」