第1章 春空の桜雨
沢山のモノを斬った
“人ハ死ヲ待ッテイル、ダカラ、僕ハ皆ヲ殺シテ、アゲルンダ”
気がつけば、人を殺すことに何の感情も無くなっていた
人を殺す、そんな日常を繰り返し11年が過ぎた、ある日のことだった
散り逝く桜を見上げ、体を休めていた僕の隣に、一人の男が座った
僕の許可無しに僕の隣に座った男にムッとして『殺されたくなければ、この場から消え去れ』と声を出した
男は「お嬢ちゃんに人を殺す力なんてないだろ?」と言って、その場に寝転がった
(お嬢ちゃん…僕の性別を一発で当てたのはこの男が初めてだ……だがしかし!
断じて許さん!!
この20になった僕をお嬢ちゃん呼ばわりなんてな!!
というか、この男は僕を舐めすぎだろ…)
『殺す』
羅刹は刀を抜き、男に向かって振り下ろした
キンッ!!
金属のぶつかり合う音がなる
男が短刀を抜き、羅刹の刀を止めた
「本気で殺ることは無いだろ」
男が驚いたように言い、起き上がり体勢を整えた
シンッとした鋭い空気が流れる