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【黒子のバスケ】それはいっそ悪夢のよう【緑間真太郎】

第4章 1度目は僅かな希望に縋り


「ついにこの日がきたのだよ…」

秀徳高校入学式

校門までの道のりをそう小さく意気込みながら歩いていると学校の敷地内で咲き誇っている桜の花弁がひらひらと舞い、歩道に花弁の絨毯を作っているのに気付いた

「…綺麗なのだよ」

前の時のはそんな事微塵も思わなかった
あの時も世界はモノクロだった

いつしか楽しいと思うことのできなくなったバスケ
バラバラになったキセキ

しかしいつしかその世界が一気に色を取り戻したのだ
数日前逆行し未来をやり直すチャンスを得られた時のように

それも部活の先輩達や高尾、それと要のおかげなのだよ
口には死んでもできないが





「要」

前の記憶を思い出し感慨に浸っているといつの間にか校門前までたどり着いていた

俺はそのまま学校の敷地に足を踏み入れ、迷う事なく1年の下駄箱辺りにたどり着く
そこにはクラス表が貼り出されており沢山の新入生達がその張り紙にこぞって集まっていた

…いた!

そんな中女子達の中でも頭一つ分背が高い少女が人混みの最後尾で必死にクラス表を見ようとしている


いくら背が高いと言えど前方に自分より背の高い男子が立ち塞がっておりなかなか見えないようだ
前に行ったりすれば良いものを…全くお前は相変わらずの馬鹿なのだな

変わらない要の姿に俺の顔はいつの間にか緩んでいた

「おい、そんな所にいてはいつまで経っても見える筈も無いだろう。少し待っていろ」

『えっ?』

背後から急に俺に話しかけられた要は驚きで肩を跳ねさせると勢いよく振り返った

俺は要が何か言う前に人の波をかき分け和の先頭まで向かう
…こう言う時に何故高尾が居ないのだよ
それに別に紙を見なくても俺はクラスを知っている

らしくもなく要の瞳に自分を写したくて話しかけてしまった
ここに来てからそんな事ばかりだ

クラスはやはり前と一緒で、案の定そこには要とあと高尾の名前もあった



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