【黒子のバスケ】それはいっそ悪夢のよう【緑間真太郎】
第4章 1度目は僅かな希望に縋り
要は俺と同様頭から足のつま先までずぶ濡れで彼女のトレードマークとも言えるポニーテールも髪に含まれた水分で力なく垂れ下がっていた
それに…
「お…お前は!!なんて格好をしてるのだよ!?」
『えっ?格好??』
俺の言葉の意味を全く理解していない要はきょとんと不思議そうな顔をする
秀徳の夏の制服を身に纏った要
しかし雨で濡れてしまった制服は体にぴったりと張り付いてしまった様で彼女の身につけている下着が透けて見えていた
…黒
男の悲しい性なのか顔は背けつつもしっかりばっちりと下着の色を確認してしまう
また、制服が張り付いてしまった事で桃井ほどでは無いが青峰が好きそうな豊かなバストが強調されていた
残念ながら手ぶらでここに来てしまい隠す物を何も所持していない…
打開策を考えた末俺は未だ自分の格好の危なさに気付いていない要を引き寄せ自分と壁の間に挟み込む
他の女子に比べれば長身だが、それでも195㎝ある俺によってすっぽり隠れてしまう要にホッと安堵した
よし。これで他の奴らに要の格好は見られないであろう
『み…緑間!?』
すると今度は要が素っ頓狂な声を上げた
見下ろした事で見えた顔は耳まで真っ赤だ
『なななな何すんだよ!』
「何をそんなに慌てているのか知らないが、今はここで大人しくしていろ…今高尾を呼ぶのだよ」
控え室にならタオルもジャージもある
俺はすぐさま高尾にタオルを持ってここまで来るようにメールを送った
ものの数秒で了解と返事がきたからそう時間はかからないだろう
「要?」
『緑間…私…すっげ悔しいよ…そりゃ誠凛は強かった…あの火神ってやつ緑間とおんなじくらいつえー…でも私、お前や高尾それに先輩達が毎日毎日努力してたの知ってたから…うっ…ふ』
珍しく言われた通り大人しくなった要
しかし徐に俺の胸に自身の顔を押し付けると嗚咽を漏らし始めた
俺は途切れ途切れに己の胸懐を吐露していく彼女を思わず抱きしめそうになる
そして急に胸の内に溢れ出す要対しての愛しい気持ち
そこでやっと俺は今まで彼女に抱いていた不思議な気持ちに名前をつけることができた
…俺は要が好きなようだ…