第1章 はじまり
体育館を出ると、渡り廊下はものすごい混みようだった。
列のまま歩けばいいのに。
『きゃっ、』
人混みの勢いで、誰かにおもいっきりぶつかってしまった。
『すみま』「ごめんっ!大丈夫?」
『あ、うん、こちらこそごめんね』
幸い、ぶつかったのは優しげのある女の子。
ちょっと茶色がかったサラサラヘアーを、高めの位置でポニーテールにしている。
よかった、ガラの悪い人じゃなくて。
「あたし、綾瀬ひかりっていうんだ!よろしくっ!3組まで一緒に行こ!」
『私は桜木遥っていうんだ。よろしく!方向音痴だからありがたい…』
「あはは、方向音痴なんだ!」
『うん、遊園地とか行ってもすぐ迷子になっちゃってさー…』
他愛もない会話をしているうちに、目的地の1年3組にたどり着いた。