第4章 日向と日陰
「今から言うことは嘘じゃないからな」
「うん。」
「お母さんな…もう死んでるんだ」
息がヒュッと詰まって脳が真っ白になった
そうではないかと考えた事はあるが本当にそうだったなんて
病気で?
事故で?
それとも…殺された?
「お前を産んだお母さんはお父さんの2人目の奥さんなんだ」
「2人目…」
「初めの奥さんは事故で死んだんだ。その後にお前のお母さんに出会って結婚した。
親父…爺はお母さんの事が気に入らなかったんだ。それで爺は跡取りである京治を産んですぐ…お母さんを殺した…」
「…っ」
「お父さんが丁度家を空けた時に殺された。爺は事故だって言い張っていたけど事故にするには不自然すぎてな…」
お父さんは涙をボタボタとこぼしている
拭おうとせず、俺の目を見て話し続ける
「お父さんは爺のこと恨んでないの?」
「…そりゃあ恨んでいるさ。でも、自分の情を貫いて生きていける世界じゃないんだ。気持ちを押し殺してでも生きないと居場所ってのがなくなるからな」
「そっか…」
「ごめんな…嘘ついていて」
「ううん。お母さんのいる所教えてくれてありがとう」
俺は泣かなかった。
涙が出なかったんだ。
その日、恨み、憎しみという汚い感情が俺の中で育った