第4章 日向と日陰
「坊ちゃん!京治坊ちゃん!」
「ん…」
「早く起きないと学校に遅れますよ?」
お手伝いさんに大きな声を出されて起きる以外の選択肢がなくなった
ねむい…
「今日は授業参観日なんでしょう?それじゃはお洋服には気合を入れないとですね!」
「い、いいよ。自分で選べるから」
お手伝いさんに任せたらどんな服か分からない。
しかも断れない
「坊ちゃん、朝食は整っているので着替えが終わり次第食卓へ来てくださいね!」
「うん」
さっさと着替えて食卓へ向かう
お腹すいたな。朝ごはんなんだろう…菜の花の辛子和えがいいな
「あっ、坊ちゃん!今お味噌汁入れますね」
「ありがとう」
…えっ!
「お父さん?!」
「おはよう京治」
「なんでっ…?仕事は」
いつも俺が起きている頃には仕事にでていて食卓で会うことはないのに
「授業参観日なんだろ?仕事休みだから観に行くよ」
「ほんとに?!」
「ああ。ほら、早く食べなさい」
「ありがとうお父さん!」
まだまだ子供だから
親が自分を観に来てくれることはすごく嬉しい
お父さんと駄弁をしながらご飯を食べる
こんなの初めてだな
組員の人と一緒に食べたりすることはあったけど、お父さんと朝一緒に食べることは今日初めてだから
「ご馳走様でした」
「お粗末様でした」
「じゃあお父さん、俺行ってくるね!」
「いってらっしゃい」
手を振って家を出る
これも初めてだ